• 中国企業調査
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中国での企業調査は、いま何が変わったのか

中国での調査をめぐる状況

中国での企業調査について、いま二つの誤解が同時に存在しています。ひとつは「中国なら金を積めば何でも出てくる」。もうひとつは「中国ではもう何も調べられない」。

どちらも違います。変わったのは、できることの中身ではなく、その線の引かれ方です。

2021年から2024年にかけて、中国では情報の取り扱いに関する法律が続けて整備・強化されました。日系企業の実務にとって何が変わったのかを、宣伝ではなく事実として整理しておきます。

01この5年で起きたこと

  1. 2021年9月 データ安全法の施行

    データを重要度によって分類し、その扱いと国外への持ち出しに義務を課す枠組みが定められました。企業が持つデータそのものが、規制の対象として位置づけられます。

  2. 2021年11月 個人情報保護法(PIPL)の施行

    個人情報の取得・利用・第三者提供・国外への移転に、明確な根拠と手続きが求められるようになりました。「知り合いに頼んで調べてもらう」という形が、法律上はっきり成り立たなくなった時点です。

  3. 2023年7月 改正反スパイ法の施行

    スパイ行為の定義が広がり、当局の権限も強化されました。条文の数そのものが大きく増えています。市場調査や競合分析、デューデリジェンスといった通常の企業活動であっても、対象となる情報の性質によっては問題になりうる、という指摘が専門家からなされています。

  4. 2024年5月 改正国家秘密保護法の施行

    国家秘密の管理を、機関だけでなく企業側にも徹底させる方向で改正されました。何が秘密にあたるかの範囲が、実務上見えにくいという課題は残っています。

実際に、外国の企業調査会社が中国の当局から家宅捜索を受け、中国人スタッフが拘束される事案が起きています。調査を依頼した側ではなく、調査を行った側が対象になった、という点が重要です。

法令は改正され、運用も変わります。個別の案件でどう判断すべきかについては、必ず専門家にご確認ください。当社は法律上の見解を申し上げる立場にはありません。

02何が成り立たなくなったか

以前は語られていた型

公的機関や通信・金融の関係者に人脈がある。名簿を持っている。身分証番号から本人にたどり着ける。現地の協力者が社内に入って持ち出してくる。時間はかかっても、いずれ「出てくる」。
——このやり方は、いまの中国では成立しません。行った側が処罰の対象になります。

いま残っている方法

公示されている記録を、抜けなく正しく読むこと。登記、出資者、年次報告、行政処罰、執行の記録。そして、現地で外から見える事実を確かめること。事務所があるか、動いているか、説明された規模と合っているか。
——地味ですが、これは制度の内側にあり、続けられます。

「取れる情報が減った」と言われますが、正確には取ってはいけない情報の線が、はっきり引かれたということです。線の内側は、以前と同じように使えます。むしろ公示制度は年々整備され、読める情報は増えています。

できないことが決まったので、できることに集中できるようになりました。 線が曖昧だった時代のほうが、依頼する側にとってはリスクの高い状態でした。

03依頼する側が気をつけること

  • 「特別なルートがあります」と説明する相手には、それがどの制度に基づくのかを聞いてください。答えられない場合、行った側だけでなく、依頼した側にも影響が及ぶ可能性があります
  • 個人情報を中国国外へ持ち出す形になっていないかを確認してください。報告書の受け渡しも、この論点に含まれます
  • 社内の担当者や駐在員が、自分で聞き込みや情報収集に動くことにも注意が必要です。善意の情報収集が、意図せず問題になることがあります
  • 結果を約束する見積り(成功報酬など)は、線の外側に踏み込む動機になります。当社が成功報酬をお受けしないのは、この理由によります

それでも、確かめられることは残っています

取引先が実在するか。説明されたとおりに動いているか。代表者が他にどんな法人と関わっているか。支払いが止まっている相手が、払えないのか払わないのか。連絡が取れなくなった相手が、どこへ移ったか。日系企業が実際に困っていることの多くは、いまの制度の内側で確かめられます。

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ID:tanteisoudan